タヌキれぽーと✍️

投資家タヌキによる資産運用に関するブログです。株式投資、キャリア、REIT、不動産。

地価とマクロ経済の関連性

 

 

今回はタヌキ不動産研究シリーズとして「地価とマクロ経済の関連性」について取り上げていきたい。

 

本章では、平成23年に作成された国土交通省土地水道資源局の『経済分析手法を用いた地価とマクロ経済に関する分析業務報告書』をもとに地価とマクロ経済の関連性について説明していく

 

(参考)

国土交通省土地水道資源局

『経済分析手法を用いた地価とマクロ経済に関する分析業務報告書』平成23年

https://www.mlit.go.jp/common/001205917.pdf

 

 

 

 

 

不動産分析モデル

 

不動産分析モデル構築の上でストック・フローモデルの構築は欠かせない。

 

少し難しいかもしれないが、ご了承いただきたい。

 

 

(参考)ストックフローモデルについて

f:id:investor_tanuki:20210713004006p:plain

※『経済分析手法を用いた地価とマクロ経済に関する分析業務報告書』より抜粋

 

 

このフローストックモデルでは、賃料が不動産市場の在庫量を決定するまでのメカニズムが示される。

 

在庫量が決定されるフローは以下の通りである。

 

①既存のストック量と需給要因から賃貸住宅市場における賃料が決定。(図中、北東の第1象限)

②第1象限で決定された賃料と外生的に与えられる金利から収益還元的に不動産の取引価格が決定する。(図中、北西の第2象限)

③第2象限で決定された価格を元に新規供給量が決定される。(図中、南西の第3象限)

④第3象限で決定された新規供給量から既存の在庫量減耗分から当該期末のストック量が決定される。(図中、南東の第4象限)

⑤今期のストック量を持って次期の賃料が決定されるためまた①に戻る。

 

賃料からストックまでは以上のようなサイクルで決定される。

 

 

マクロ経済分析を用いた地下の実証分析例

 

中村・才田は「地価とファンダメンタルズ -加重平均公示地価指標を用いた長期時系列分析-」でマクロ経済モデルを用いて不動産分析を試みている。

 

その際、用いた共和分式は以下の通りである。

  1. p =β +βTrend+NPV +e t01 tt
  2. p =β +βTrend+NPV pop+e t01t2t
  3. p =β +βTrendNPV +e t01 2tt
  4. p =β +βTrendNPV pop+e t01 tt

p:実質地価(対数値) NPV:割引現在価値指標(対数値) pop:生産年齢人口比率 ttt

Trend:トレンド項 e:誤差項

 

(1),(2)では、地価とNPV指標の間に一対一の関係を想定している。加えて、(2)ではNPV指標に加えて人口要因を加えて定式化したものである。(3)(4)ではNPV指標の係数1という制約を緩めたものをであり、以上の4パターンの共和分方程式を、地域別に水系し、誤差項に関する単位根検定を通じて地価とNPV指標との間に共和分の関係を認めるか否か検証が試みられている。

 

 

不動産マクロ経済モデルが抱える課題

これまで説明してきた不動産マクロ経済モデルが抱える課題は大きく以下の3つの通りである。

  1. 変数に地価・土地取引量がない。
  2. 土地市場と建物市場との関係性がモデルで明らかになっていない。
  3. データの制約に関する問題。

 

 

上の章で示した理論では、不動産市場の需給構造では、「賃料」「価格」「新規供給量」「ストック量」の4種類の変数が想定されている。

 

その4種類以外の変数には地価や土地取引件数といった「土地市場」における変数が考慮されていないことは課題である。

 

次に、上記で示したモデルでは土地市場と建物市場の関係が明らかになっていないことが問題として挙げられる。2つの市場の関係をどう整理し、モデルに具現していくことが必要になってくる。

 

最後に、データの問題である。これは常日頃から不動産市場で言われていることであるが、日本の不動産市場は不透明極まりなく、信頼できる不動産データベースがない。

マクロ経済モデルは基本的に、一国全体を対象にしているため、しっかりとしたデータベースが無ければ、その前提が崩れる。そのため、一早く不動産市場のデータ整備が求められる。